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割引現在価値計算の役割と問題に関する一考察
〜特に貨幣性資産及び負債の測定問題に関して〜
発表日 1998年1月19日
発表者 市川 克也
(目次)
. はじめに
. 取得原価主義会計と貨幣性資産・負債の概念
A. 取得原価主義会計の意義
B. 実現概念と貨幣性資産の概念の検討
。. 割引現在価値計算の有用性と問題点
A. 割引現在価値計算の定義と分類
1. 割引現在価値計算の定義
2. 割引現在価値の位置づけ(図1参照)
3. 割引現在価値計算の分類
i. 確定した将来キャッシュ・インフロー又は将来キャッシュ・アウトフローの期間配分方法
として位置づけられるもの
ii. 全会計期間で考えたとき、キャッシュ・フローの総額が変化すると考えられるもの
B. 割引現在価値計算の適用についての有用性と問題点
1. 貸付金の減損に関する問題点
2. 非貨幣性資産に対する割引現在価値計算を用いた測定に関する問題点
3. 保有社債・債券、及び社債の会計処理に関する問題点
4. フレッシュ・スタート法に関する問題点
「. 問題点と展望
(論点整理)
I. はじめに
取得原価主義会計において、資産は、資産の属性によって資産を貨幣性資産と費用性資産に分類し、費用性資産については取得原価主義と費用配分の原則が適用され、貨幣性資産の評価については、券面額又は回収可能額主義が採用される。(注1)
一方、「費用性資産の取得原価は、過去の取得時点においてのみ客観的な数値であって、現在の時点では、むしろ現在の市場価格(時価)の方が資産の価値を表現する数値として、まさに経済的実態に即した客観的な数値である。(注2)」とする時価主義の立場からは、全ての資産・負債について時価をもって評価することが妥当であると主張されている。
しかし、売却を前提としない固定資産を前提に考えた場合明らかであるように、毎決算期ごとに固定資産の時価を評価することは、もともと売却を目的としない使用目的の資産の時価を求めるということを意味し、継続企業を前提とする企業の収益力を評価するという企業会計の目的から不合理であり、固定資産の時価を算定したとしても、一般にその検証可能性を確保することにおいて困難である場合が多く、外部利害関係者へ提供される情報として問題があるといえる。
このように会計上の資産評価の問題は、費用性資産の評価において意味があり、貨幣項目についてはほとんど意味を持たないとされてきた。(注3)
しかし、金融経済が発達し、企業が保有する貨幣項目の影響力が増大しつつある経済環境においては、貨幣性資産・負債の評価すなわち貨幣項目の一般購買力に関する情報提供機能を、いかに取得原価主義会計に取り込むかが今日の問題となってきていると考えられる。また、貨幣性資産・負債の時価は誰にとっても等しい価値を持つものであり、外部利害関係者へ提供される情報として検証可能性を有していると考えられる。(注4)
そして、割引現在価値はその時点での貨幣項目の一般購買力を表す点において有用であると考えることができる。すなわち、割引現在価値とは、将来キャッシュ・インフローを一定の利子率で割引いたものであり、貨幣項目の時間的価値を明確にするものである。例を挙げれば、現在の1,000万円と5年後に獲得しうる1,000万円の一般購買力は、合理的な経済人の時間選好を前提にすれば異なるものであり、貨幣性資産・負債については、この時間的価値を考慮することが重要であると考えられる。
しかし、我が国の企業会計制度において、貨幣性資産・負債についてはその概念の定義がない。そして、貨幣性資産の回収可能額や貨幣性負債の法的債務額について時間的価値を含む概念であるのか、そうでないのか明文の規定がない。
第一に、金融経済の発達とともに貨幣項目は増大しつつあり、何が貨幣項目であって、何が貨幣項目ではないかについて判断することは重要であると考える。例えば、金融商品の評価における議論において、金融商品を貨幣性資産と位置づけるのか、非貨幣性資産と位置づけるのかによって、議論の性質が異なってくると考えられる。すなわち、前者は実現に関する議論であり、後者は資産の交換に関する議論である。ところが、貨幣性資産の定義が論者によって異なるため、議論に混乱が生じているように思える。
そして、貨幣性資産・負債に対してフレッシュ・スタート法を採用し、現在割引価値が簿価よりも増大した場合、これが実現によるものか、そうではないのかを検討し、伝統的な取得原価主義の枠内で説明できるものであるのか、そうでないのかを明らかにする必要があると思われる。
次に、回収可能額についてこれが時間的価値を含むものであるのかどうかを明らかにすることも重要な論点であると考える。例えば、貸付金において金利を繰延べたり(延滞債権)、金利を減免した(金利減免債権)場合のように明らかに将来キャッシュ・インフローの減少が生じている場合において、元本金額に対してのみ貸倒引当金を設定する場合、その測定値が将来キャッシュ・インフローの現在価値を表していないという問題が生じる。
また、社債について考えてみた場合、保有社債について券面額、取得原価、償却原価法等を選択適用できる余地があり、例えばアキュムレーションと低価法の両方の適用も文言上否定されておらず、償却原価法がいかなる場合に適用されるべきかについての理論的検討が必要であり、発行した社債についても、その法的債務額が測定値となっており、例えば社債発行差金を一括償却した場合、その法的債務額は将来キャッシュ・アウトフローの現在価値を表さないという問題点が生じていると考えられる。
最後に、割引現在価値計算を行う資産項目の対象として、非貨幣性資産への適用が考えられるがこれがどのような測定上の意義を有しているのか検討する必要があると思われる。
II. 取得原価主義会計と貨幣性資産・負債の概念
A. 取得原価主義会計の意義
「企業会計における全ての資源の原初入帳数値は、原則として交換市場において独立の当事者間で成立した価額(原初取引価額)に基礎をおき、この価額が損益計算のための出発点になり、かつ、その価額すなわち取得原価は、当該資源が企業内に保有されている期間中ずっとその意味を持ち続ける会計方式である。」(注5)
B. 実現概念と貨幣性資産の概念の検討
1. 実現概念の要件(注6)
i. 当該企業と外部の第三者との間に市場取引(交換取引)が存在していること(市場取引の存在)
ii. 財貨又は用役が外部の第三者に引き渡し済みであるか又は提供済みであること(給付の提供)
iii. その対価として現金もしくは現金請求権(現金同等物)または流動資産が提供されていること(対価の流動性)
2. 貨幣性資産の概念
a. 貨幣性資産の定義の検討
「貨幣性資産とは正常な営業取引過程において販売の対象とならない資産」(注7)
III. 割引現在価値計算の有用性と問題点
A. 割引現在価値計算の定義と分類
1. 割引現在価値計算の定義
確定した将来キャッシュ・インフロー又はキャッシュ・アウトフローの時間的価値を考慮に入れた期間配分計算である。
2. 割引現在価値の位置づけ(図1参照)
3. 割引現在価値計算の分類
a. 確定した将来キャッシュ・インフロー又は将来キャッシュ・アウトフローの期間配分方法として位置づけられるもの
i. 償却原価法
決算日において、将来キャッシュ・フローの見積値と割引率を基礎として事後測定する方法。(注8)この方法は、利息の複利計算を行う利息法と単利計算を行う直線法に分類できる。
ii. 社債発行差金の償却
社債発行差金の会計学的性格は、社債の評価勘定であるとみることができる。そして、社債発行差金の償却は社債の時間価値を考慮した割引現在価値の評価増と社債利息の計上であると考えられる。
ex.)仕訳例 社債金額 100,000 円 発行価額 90,000 円 として2年で償還。仮に発行時に発行価額(収入額)によって実質的な負担額を測定したとする。
(発行時)
(借方)現金 90,000 (貸方)社債 90,000
(社債発行差金償却時)
(借方)社債利息 5,000 (貸方)社債 5,000
iii. ファイナンス・リース取引におけるリース債務、リース資産の会計処理
将来キャッシュ・アウトフローの総額は契約により確定しており、この将来キャッシュ・アウトフローを、支払利息と減価償却費として各会計期間に配分するものであるといえる。
ex.)仕訳例
リース期間を仮に一つの会計期間として考えた場合
(借方)建物 1,000 (貸方)現金1,500
前払利息 500
従って、これは将来キャッシュ・アウトフローをリース資産の減価償却費及び支払利息として期間配分する手続であると考えられる。
b. 全会計期間で考えたとき、キャッシュ・フローの総額が変化すると考えられるもの
i. フレッシュ・スタート法
決算時点で将来キャッシュ・フローと割引率を再見積して事後測定する方法(注9)
B. 割引現在価値計算の適用についての有用性と問題点
1. 貸付金の減損に関する問題点
a. 現行制度における貸付金の減損に関する問題点
貸付金に対し、金利の繰延べ(延滞債権)、金利の減免(金利減免債権)を行う場合、既に当該貸付金において将来キャッシュ・インフローの減少が生じていると言える。しかし、貸倒引当金は元本部分に対する回収不能見込に対して設定されるものであるので、このような将来キャッシュ・インフローの減少という事象を捉えることができない。また、発行体の中には貸付金の回収未済の受取利息に対して未収金を計上する場合もあり、これが不良債権額の把握を困難にしているという問題点がある。
b. 貸付金減損計上後における会計処理上の問題点(例1を参照)
i. (第1法)現金を受領するまで受取利息及び貸付金の評価を変えない方法。
ii. (第2法)受取利息を計上し、貸付金の評価額を増加させる方法。
iii. (第3法)前期における予想の誤りとみて前期損益の修正とする方法。
2. 非貨幣性資産に対する割引現在価値計算を用いた測定に関する問題点
a. 非貨幣性資産に割引現在価値計算を用いることの会計的意味
i. 「FASB基準第121号において、固定資産、特に事業用固定資産、買収法によって取得した営業権及び売却・除却予定の固定資産に対して、将来キャッシュフローが当初予定していた額よりも著しく減少すると予想される時点において、その評価損(減損)部分を算定する方法」を適用しているが、これをどのように位置づけるかが問題となる。(注10)
ii. 非貨幣性資産(その大部分を占める費用性資産)に対する割引現在価値計算による測定値は、実質的には正味実現可能価額の算定を意味すると解釈できる。すなわち、もはや継続投資ではない固定資産等に対する簿価の切り下げであり、財務的安全性を要請する保守主義の観点から例外的に許容されるものであると解する。
b. 商法34条2項との整合性
i. 「固定資産についてはその取得価額又は製作価額を付し、毎年一回一定の時期、会社に在りては毎決算期に相当の償却を為し、予測することあたわざる減損が生じたるときは相当の減額をなすことを要す。」
ii. 「予測すること能わざる減損」の趣旨との整合性
予測しえなかった新技術の発明により固定資産が著しく機能的に減価する場合や、災害や事故等により有形固定資産の実体の滅失や損傷が生じた場合、臨時損失処理や臨
時償却処理を行うのは、固定資産の経済的便益が喪失したことを反映させるものであり、時価が著しく下落し回復の可能性が見込まれない場合も固定資産の経済的便益が喪失した点では同様であると解されることから、商法34条2項の「予測すること能わざる減損」に含まれると解釈される。
3. 保有社債・債券、及び社債の会計処理に関する問題点
a. 保有社債・債券の会計処理に関する問題点
i. 企業会計原則における保有社債・債券の会計処理の選択適用
取引所の相場のある保有社債には低価法、また債券金額及び社債金額と異なる価額で買い入れた債券及び社債については償却原価法の選択適用が容認されている(企業会計原則注解22、注解23)
ii. 保有社債に対する償却原価法と低価法の採用についての選択適用の容認規定の問題点
低価法は、近い将来にその資産を売却することによって予想される損失を早期に計上するという保守主義の立場から認められるものであると解されるが、長期所有目的の保有社債について低価法適用は合理性を持たず、又、逆に一時所有目的の保有社債について償却原価法を用いるのは合理的ではないと言える。
b. 発行社債の会計処理に関する問題点
i. 社債発行差金の償却方法(5年以内、均等額以上償却)に関する問題点
商法上、社債発行差金は繰延資産として計上され、毎期5年以内均等額以上償却が定められている。社債発行差金の会計学的性格は社債の評価勘定であると考えられるが、仮に商法に基づき社債発行差金を一括償却してしまった場合、社債の貸借対照表金額は実質的な負担額を示さないと考えられる。会計学的性格から考えれば、社債発行差金は社債の評価勘定として社債から控除する形式をとるべきであると考えられ、また社債発行差金の償却は償還期間に渡って期間配分されるべきであると考えられる。
4. フレッシュ・スタート法に関する問題点
a. 現在割引価値が簿価よりも増大した場合、実現であると考えるべきか?
IV. 問題点と展望
(注)
(注1)新井 清光「新版 財務会計論(第三版)」中央経済社、1996年、47頁。
(注2)同上、同書、70頁。
(注3)同上、同書、62頁、白鳥 栄一「伝統的原価主義会計の矛盾-国際会計基準などの国際的潮流から判断して」企業会計、第47巻1号(1995年1月)、33頁。
(注4)斉藤 静樹「債券投資の成果と償却原価法-会計における評価と配分-」企業会計、第47巻第6号(1995年6月)、737頁。
(注5)広瀬 義州「会計基準論」中央経済社、1995年、182頁。
(注6)同上、同書、186頁。
(注7)同上、同書、187頁。
(注8)西澤 茂「現在価値基準による会計測定の有用性」税経通信、第51巻第6号(1996年5月)、172頁。
(注9)同上、同書、同頁。
(注10)同上、同書、174頁。
(参考文献)
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Concepts No.5: Recognition and Measurement in Financial Statement of Business
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Financial Accounting Standards Board, Statement of Financial Accounting
Concepts No.6: Element of Financial Statements, December 1985, (平松 一夫・広瀬
義州訳「FASB財務会計の諸概念(改訂新版)」中央経済社、1994年)。
Financial Accounting Standards Board, Exposure draft Proposed Statement
of Financial Accounting Concepts: Using Cash Flow Information in Accounting
Measurements, October 1997.
Financial Accounting Standards Board, Statement No. 114 Accounting by Creditors
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1993.
Financial Accounting Standards Board, Statement No. 115 Accounting for Certain
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Financial Accounting Standards Board, Statement No. 121 Accounting for the
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Of,March 1995.
Financial Accounting Standards Board,Statement No. 118 Accounting by Creditors
for Impairment of a Loan-Income Recognition and Disclosures-an amendment
of FASB Statement No. 114, October,1994.
広瀬 義州「会計基準論」中央経済社、1995年。
安藤 英義「商法会計制度論」国元書房、1985年。
新井 清光「新版 財務会計論(第三版)」中央経済社、1996年。
太田昭和監査法人「新金融商品の会計」税務経理協会、1997年。
鈴木 竹雄・竹内 昭夫「会社法(第三版)」有斐閣、1994年。
加古 宜士「財務会計概論」中央経済社、1994年。
飯野 利夫「財務会計論(三訂版)」同文館、1993年。
中村 忠「財務会計論」国元書房、1984年。
銀行研修社「デリバティブ取引入門」銀行研修社、1995年。
古賀 智敏「デリバティブ会計」森山書店、1996年。
斉藤 静樹「企業会計 利益の測定と開示」東京大学出版会、1993年。
矢澤 惇「企業会計法講義(改訂版)」有斐閣、1973年。
新保 恵志「デリバティブ」中公新書、1996年。
福岡 正夫「ゼミナール経済学入門」日本経済新聞社、1988年。
企業会計審議会第一部会「金融商品に係る会計処理基準に関する論点整理」、1997年6月。
日本公認会計士協会「ディスカッション・ペーパー「金融資産及び金融負債の会計処理」に対する日本公認会計士協会のコメント」JICPAジャーナル、第507号(1997年10月)。
広瀬 義州「財務諸表における認識と測定-FASB, SFAC No.5の概略と論評-」企業会計、第37巻第5号(1985年5月)。
広瀬 義州「取得原価主義の再検討」企業会計、第47巻第1号(1995年1月)。
広瀬 義州「デリバティブ取引の会計基準」QRI REPORT、第20号(1995年11月)。
広瀬 義州「現在価値基準による会計測定の有用性について 西澤論文へのコメント」税経通信、第51巻第6号(1996年5月)。
広瀬 義州「実現概念の拡張と処分可能利益計算」會計、第138巻第5号(1990年11月)。
広瀬 義州「「企業会計原則」の見直しに伴う課題」旬刊商事法務、第1446号(1997年1月25日)。
広瀬 義州「会計基準設定のための概念フレームワーク」旬刊商事法務、第1455号(1997年4月25日)。
西澤 茂「現在価値による会計測定の意義と問題点」會計、第151巻第5号(1997年5月)。
西澤 茂「現在価値基準による会計測定の有用性」税経通信、第51巻第6号(1996年5月)。
西澤 茂「未履行契約の経済的実質と会計上の認識」會計、第147巻第3号(1995年3月)。
西澤 茂「会計上の認識と経済的実質の原則-契約会計に関連して」企業会計、第46巻第5号(1995年3月)。
白鳥 栄一「伝統的原価主義会計の矛盾-国際会計基準などの国際的潮流から判断して」企業会計、第47巻1号(1995年1月)
北山 弘樹「包括利益の報告と会計的認識」税経通信、第52巻第14号(1997年10月)。
北村 敬子「割引現在価値測定について」企業会計、第47巻第7号(1995年7月)。
加古 宜士「現在価値計算と取得原価主義会計」企業会計、第47巻第1号(1995年1月)。
濱本 道正「割引現在価値による会計測定」会計人コース、第31巻第1号(1996年1月)。
斉藤 静樹「債券投資の成果と償却原価法-会計における評価と配分-」企業会計、第47巻第6号(1995年6月)。
田中 健二「現在価値測定の役割」會計、第148巻4号(1995年10月)。
田中 健二「時価評価の潮流」企業会計、第49巻2号(1997年2月)。
田中 健二「有価証券の時価評価[1]」企業会計、第49巻3号(1997年3月)。
田中 健二「有価証券の時価評価[2]」企業会計、第49巻4号(1997年4月)。
田中 健二「貸付金の減損[1]」企業会計、第49巻5号(1997年5月)。
田中 健二「貸付金の減損[2]」企業会計、第49巻6号(1997年6月)。
田中 健二「金融商品の時価評価[2]」企業会計、第49巻10号(1997年10月)。
佐藤 信彦「負債の測定と割引現在価値計算の本質」會計、第147巻第5号(1995年5月)。
宗像 雄一郎「土地・不動産の評価」企業会計、第49巻3号(1997年3月)。
弥永 真生「現在価値計算と商法計算規定」企業会計、第47巻第1号(1995年1月)。
米山 正樹「金銭債権に関する見積りの変更-「減損」のとらえかた-」産業経理、第57巻2号(1997年2月)。
川村 義則「デリバティブのオンバランス化について-FASB公開草案とわが国の商法会計-」税経通信、第51巻第11号(1996年9月)。
(例1)
貸付金の減損に関する会計処理について
設例)
(条件1)
甲銀行は、1995年1月1日に丙社に対して、契約利子率8%(年1回、12/31払い、返済期日は5年後の1999年12月31日)100,000円を貸し付けたとする。丙社は1995年12月31日と1996年12月31日において8,000円ずつ利息を支払ったが、甲銀行は、丙社の財務状態が悪化し、次の3年間は利息を支払えないと判断した(計算上、誤差は丸めてある)。
1996年12月31日における貸付金の現在価値
3年後に返済される元本100,000の現在価値 100,000×1/(1.08)^3 =79,383
合計 79,383
減損 100,000-79,383= 20,617
(3年分の利息分の将来キャッシュ・インフローの現在価値 8,000×1/(1.08) +
8,000×1/(1.08)^2+8,000×1/(1.08)^3=20,617円に相当する。)
1996年12月31日における減損の認識
(借方) 貸倒引当損 20,617 (貸方) 貸倒引当金 20,617
(貸付金)
(条件2)
1997年12月31日、甲銀行は、1997年度は利息は支払われないが、1998年度と1999年度は8,000円の利息が支払われ、元本は1999年12月31日に支払われるであろうと判断した。
(第1法)現金を受領するまで受取利息及び貸付金の評価を変えない方法。
1997年12月31日における仕訳
仕訳なし
1998年12月31日における仕訳
(借方) 現金 8,000 (貸方) 受取利息 8,000
1999年12月31日における仕訳
(借方) 現金 108,000 (貸方)貸付金 79,383
受取利息 8,000
前期損益修正 20,617
(第2法)受取利息を計上し、貸付金の評価額を増加させる方法。
1997年12月31日における仕訳
(借方 ) 貸倒引当金 20,617 (貸方)受取利息 20,617
(貸付金)
※100,000 ×1/(1.08)^2 + 8,000×1/(1.08)+8,000×1/(1.08)^2 = 100,000
100,000 - 79,383 = 20,617
差額部分は、100,000の年金原価係数の上昇分 100,000×(1/(1.08)^2-1/(1.08)^3)=6,351
及び2年分の将来キャッシュ・インフロー 8,000×1/(1.08) + 8,000×1/(1.08)^2
=14,266
の合計である。
1998年12月31日における仕訳
(借方) 現金 8,000 (貸方)受取利息 8,000
1999年12月31日における仕訳
(借方) 現金 108,000 (貸方)貸付金 100,000
受取利息 8,000
(第3法)前期における予想の誤りとみて前期損益の修正とする方法。
1997年12月31日における仕訳
(借方 ) 貸倒引当金 20,617 (貸方)前期損益修正 20,617
(貸付金)
※100,000 ×1/(1.08)^2 + 8,000×1/(1.08)+8,000×1/(1.08)^2 = 100,000
100,000 - 79,383 = 20,617
差額部分は、100,000の年金原価係数の上昇分 100,000×(1/(1.08)^2-1/(1.08)^3)=6,351
及び2年分の将来キャッシュ・インフロー 8,000×1/(1.08) + 8,000×1/(1.08)^2
=14,266
の合計である。
1998年12月31日における仕訳
(借方) 現金 8,000 (貸方)受取利息 8,000
1999年12月31日における仕訳
(借方) 現金 108,000 (貸方)貸付金 100,000
受取利息 8,000