
「コーポレート・ガバナンスに関する論点整理および制度の国際比較」,深尾光洋・森田泰子(1994),『金融研究』13巻3号
発表日:平成9年5月8日
発表者:市川 克也
1. 本論文の視点
「コーポレート・ガバナンスの問題は、経営者、株主(出資者)、債権者、従業員、取引先といった利害関係人の利害調整を円滑・妥当に行いつつ、企業経営を適切に規律づけるためにはどうすればよいか、有限責任のデメリットを抑えつつ、メリットを最大限に生かすためにはどうすればよいか」であり、本論文では、日本の制度的枠組みと機能状況を米、英、独、仏と比較することで浮き彫りにすることを試みる
3. 株主の権限に関する制度的枠組み
(1)経営者の選任および解任
a. 経営者の選任
i. 日本
1. 株主総会で取締役を選任(商法254条1項)
2. 取締役が構成する取締役会および取締役会で選任される代表取締役(商法261条1項)
が会社の経営にあたる(商法260条1項、商法261条1項)
ii. アメリカ
1. 株主総会の単純多数決で取締役を選任
iii. イギリス
1. 取締役は株主総会の単純多数決で選任
iv. フランス
1. 伝統的な株式会社形態では、取締役は取締役会の提案に基づき、株主総会で任命、実際
の経営は社長と副社長によって行われ、取締役会の権限はその監督に限定されることが
多い(補論A1参照)
2. ドイツ方式の株式会社では、監査委員会が業務執行委員会のメンバーを任命し、業務執
行委員会が会社経営、 監査役会が業務執行委員会の行為を監査する(但し、ドイツ方式
を採用する会社はごく少数)
v. ドイツ
1. 取締役は監査役会によって選任され、取締役会が会社経営にあたる(指揮と監督が分離)
→日本のような単層構造の会社ではドイツ、フランスの二層構造の会社に比べて株主が直接
経営者選任に対して及ぼしうる影響力は大きい
b. 取締役選任における株主の提案権
i. 日本
1. 議題・議案提案権(商法232の2条)
2. 株主総会招集請求権(商法237条1項2項)
ii. イギリス
1. 議案提案権;株式総数の5%以上
2. 株主総会召集請求権;株式総数の10%以上
iii. アメリカ
1. 株主の費用のもとで委任状を集めることが必要
→株主が取締役候補者の指名について提案することは、制度的には、日本は比較的容易であ
る一方、英国や米国では厳しい
(2)経営判断および経営陣の報酬についての株主の関与
a. 経営判断に対する株主の関与
i. 日本
1. 株主総会は商法又は定款に定める事項に限って決議することが可能(商法230条の10)
2. 業務執行については、取締役会及び代表取締役が通常これにあたる(商法260条1項、
商法261条1項)
3. 株主は株主総会の特別決議(商法343条)で定款を変更すること等によって、直接、
経営判断を行うことは可能
4.株主は代表訴訟(商法267条1項)等で取締役の経営判断(善管注意義務違反、忠実義務
違反(民法644条、商法254条の3、266条1項5号)を追及可
5. 但し「経営判断の原則」が近年下級審裁判例で見られる(例えば、東京高判昭50・1・
29判時七七一号七七頁,福岡高判昭55・10・8判時タ四三三号一四九頁等、補論A1参照)
ii. アメリカ
1. 定款で定めた場合のみ株主総会で経営判断に関する決議を行いうる(定款を変更するこ
とは連邦証券取引委員会規則による制約あり)
2. 「経営判断の原則」(Business Judgement Rule)により株主は経営者の責任追及が困難(補
論A1参照)
iii. ドイツ
1. 取締役会は会社の経営について株主の命令を受けない
→日本では制度上、経営判断に対する株主の関与は比較的行いやすい
b. 経営陣の報酬に対する株主の関与
i. 日本
1. 取締役の報酬は株主総会で決される(商法269条)
ii. フランス
1. 取締役の報酬は株主総会で決定
iii. イギリス
1. 取締役の報酬決定方法は、定款で取締役の報酬を株主総会の決議事項と定めている場合
が通常
iv. アメリカ
1. 株主の同意なしに取締役会で定めうるのが通常
v. ドイツ
1. 取締役の報酬は監査役会が定める
→制度上、日本の経営陣の報酬の決定について比較的株主が関与しやすい
4. 債権者の保護に関する制度的枠組み
(1)資本の役割と会計原則
a. 資本の役割
i. 日本、ドイツ、フランス、イギリス(補論A10参照)
1. 原則として払込資本は維持される
2. 配当制限は厳格
ii. アメリカ
1.配当制限に関する法的な規制は非常に弱い
b. 会計原則の基本的な考え方
i. 日本、ドイツ、フランス
1.利害調整機能が重視される
2.税制が会計原則に対して大きな影響を与えている
ii. アメリカ、イギリス
1. 情報提供機能が重視される
2.税制が会計原則に与える影響は小さい
(2)倒産手続き
i.イギリス
1. 倒産手続においても担保権がかなり尊重されるため、倒産企業の公的な手続による再建
が困難なことが多い
ii. ドイツ
1. 清算手続のみで再建手続は不十分である
iii. フランス
1. 会社の清算よりは更正(営業権の譲渡等)による再建が中心
v. アメリカ
1. 再建手続が重視される(米国の倒産手続は倒産企業の優先的な債権者を犠牲にして、経
営陣、株主、劣後債権者にとって有利に働くことがある Jensen[1991])
→アメリカと比較した場合、清算手続において、日本では担保権の保護が厚い。
日本、ドイツ、イギリスでは、債権者が倒産手続において比較的良く保護されており、
このことが負債コストが低いことに寄与していると思われる。
5. 株主権限の機能状況
(1)会社の所有構造と大株主の役割
a. 分析の目的
i. 株主が経営に関与できる制度上の権限が、実際にどの程度有効に行使されるかという観点
から株式保有の構造 を考慮する必要がある
b. 株式保有の集中度合
i. 日本、ドイツでは上位5株主の株式保有のウエイトが3〜4割であり、米国、イギリスよ
りも大株主の占めるウエイトが高い(第1表参照)
c. 株式保有の安定化
i. 日本
1. 長期的な取引関係にある会社が株式を保有しあうことが一般的(相互持合については商
法211条の2、商法241条3項、独占禁止法10条1項、独占禁止法第9条の2の規制が
ある(補論A8参照)。但し純粋持株会社は実質全面解禁の方向にあり、また金融持株会
社も6月末に結論が出る方向にある。)
2. アンケートによれば、取引先金融機関または親会社・グループ会社が筆頭株主であるケ
ースが66%(第2表)
3. また、アンケートによれば自分の会社の過半数の株主が安定株主であると考えている会
社が8割以上(第3表)
ii. ドイツ
1. 相互持合は少ない(相互保有議決権が25%に制約)が、企業が他の企業の安定大株主に
なっている場合が多い
2. 上場株式の約4割を金融業以外の事業会社が保有(第4表)
3. 金融機関の株式保有が多い(上場株式の9%を銀行が保有、11%を保険会社が保有)
(第4表)
4.主要銀行は、多くの大企業について議決権の過半数を実質的に保有し、また、銀行は株
式会社の監査役会へ監査役を派遣することがしばしばあり、場合によっては、銀行代表
が監査役会会長となることもある(補論A5)
iii. アメリカ、イギリス
1. アメリカ、イギリスでは、年金基金、保険、投資信託など機関投資家による株式保有額
が株式発行総額の55〜60%と非常に大きい(第4,5表)
2. 特にアメリカでは、機関投資家が筆頭株主となっている会社が全体の72%(第2表)
3. アメリカ、イギリスの年金基金は、ポートフォリオからの収益最大化を視野に行動し、
株式を非常に短期(約2年)で売買すると指摘されている(Froot et a.l.[1991])
4. アメリカの機関投資家は、会社経営の規律づけに積極的に関与するのではなく、経営効
率の悪い会社の株式を 売却することによって、自らの投資効率を上げようとする傾向が
ある。
5. アメリカの機関投資家が会社経営に関与しない原因として、インサイダー取引規制の内
容が曖昧で、投資家と経営陣の情報交換がどの程度であればインサイダー取引に反しな
いかという点で不確実性があり、罰則が極めて厳しいため、機密性の高い情報を経営陣
が大株主に対して非公式な形で伝えることが難しい点が指摘されて いる(補論A9参照)
(2)企業買収について
a. 企業経営の規律づけに関与する主体として、現在の株主のみならず潜在的な株主の果たす 役割が重要であるとの考え方(例えば、敵対的買収により、経営陣は会社の市場価値を最 大化すべく努力しようとする)がある。
b. アメリカ、イギリス
i. 敵対的買収が一般的
ii. 敵対的買収に対する対抗手段について、最も強い対抗手段をとりうる(例えば、ゴール
デン・パラシュート、ポイズン・ピル、レバレッジド・リキャピタリゼーション等、補
論A7参照)
iii. 1980年代後半には、多くの州で敵対的買収を困難にする法改正が行われた
iv. この法改正につき経営陣と従業員は、会社が主に活動している州に強い影響を与えうる 一方、株主は全米
に広がっていて、個別 の州に対する影響力が弱いため 会社法が経営陣 に有利になる傾向があるとの主張がある(Roe[1993],Easterbrook
and Fischel[1991] Jacobs[1991])
c. 日本、ドイツ
i. 敵対的買収はほとんどない
ii. 買収に関する規制が敵対的買収を妨げているのではなく、その他の制度的要因による。
iii. 日本、ドイツでは比較的安定的な株式保有構造、株式の議決権に関するルール(ドイツ では1株主の議決権を定款によって制限できる)、企業別の労働組合制度(日本)、監査 役会への従業員の関与度が強いこと(ドイツ)といった制度的な要因によって敵対的買収 を成功させることが難しくなっている。
→ アメリカやイギリスには、ドイツ、日本の銀行のように経営を積極的にモニタリングす る投資家が存在せず、コストのかかる敵対的買収を行わずに間違った経営を直す仕組みが ないので、敵対的買収が必要であるが、
日本やドイツでは大株主が直接経営陣に影響を 与えうるので、敵対的買収の必要性が低い。
(3)取締役選任の実態
a. 日本
i. 取締役の多くが主に従業員から選任され、取締役は従業員の利益を代表しがちである
ii. 日本では、会社の経営者の資質として、強固な理念・哲学や社内での人望が重視されてい
る(一定の分野につ いての深い専門知識やアイデアの新鮮さといった資質は欧米ほどは
重視されていない)
(4)経営陣の報酬についての株主のコントロール
a. 日本
i. 商法上は取締役の報酬は株主総会で決定(商法269条)
ii. 使用人兼務取締役につき、使用人部分の給料は取締役会で決定可能。
iii. 通説・判例は、使用人兼務取締役が使用人として受ける俸給、賞与、退職慰労金等につ
いて、使用人としての給与等は給与表により額が体系的に明示されており、また法人税
法上も損金算入が認められるから(法人税法35条2項)、商法269条の適用はない
としている(最判昭和43・9・3金判一二九号七頁、同昭60・3・26 判時一一五九号150
頁)
b. アメリカ
i. 社外取締役のみからなる報酬委員会で取締役の報酬を定めていることが多い
ii. 現実には社外取締役の3分の2が他の会社の経営責任者であり、経営責任者の報酬はある程度横並びで決まるため、社外取締役による取締役報酬のコントロールは十分に機能していないと言われている
→ 日本の経営者の報酬に対する株主のコントロールは必ずしも完全とは言えないが、米国 に比べれば強い(例として米国の経営者と日本の経営者の報酬の差が上げられる
(但し、フリンジ・ベネフィットなどの要因を考慮する必要がある)
【参考文献】
広瀬義州,「会計基準論」,中央経済社,1995年
広瀬義州,『「企業会計原則」の見直しに伴う課題』,商事法務No.1446(1997年1月)
新井清光,「新版 財務会計論第三版」,中央経済社,1996年
奥島孝康,「会社法の基礎」,日本評論社,1994年
I. 企業管理の基本構造(A1)
A. 米国
1. 関連法規
a. 会社法(州ごとの会社法に従う。大企業の多くがデラウエア州に設立されている。)
b. 連邦証券取引委員会(SEC)規制
2. 執行機関
a. 多くの場合、取締役は株主総会の単純多数決で選ばれ、任期は1〜3年
b. 株主総会の過半数の賛成あれば、取締役を解任可
c. 取締役解任について正当な事由が必要かどうかは基本定款の定めによる(基本定款に定めなき場合は正
当事由は不要)
d. 近年、社外取締役のウエイトが上昇し、取締役会の役割の中心は、最高経営責任者(CEO)をはじめとする
役員(officers)を選び、かつ経営陣を監督することに次第に移行している
3. 取締役会の裁量
a. 会社経営を行う上での取締役会の裁量権はかなり広い
b. 「経営判断の原則」が認められ、経営陣に重過失がある場合を除きその責任を問われない
4. 利益相反取引規制
a. 取締役兼任の場合には、取引に関する重大な事実を開示した上で株主総会もしくは取締役会の承認を受
ける手続的要件及びその取引が公正であるという実体的要件のいずれも満たす必要がある
b. 過少資本(事業の通常の運営に必要とされる額に比して資本が非常に少額)の場合には、支配株主につ
いて有限責任が否認される場合がある
B. ドイツ
1. 会社の形態
a. 株式会社は少数(1991年現在で3,000社、そのうち公開会社は665社)
b. ほとんどの会社は有限会社(35万社)
2. 監査役会設置義務
a. 株式会社の監査役会には必ず従業員が参加することが義務づけられている
b. 従業員2,000人超の株式会社及び有限会社は、監査役の半数を従業員代表としなければならない
c. 従業員2,000人以下の株式会社や従業員が500人超2,000人以下の有限会社では監査役の3分の1を従業員
代表としなければならない
d. 従業員500人以下の有限会社は監査役会の設置が義務づけられていない
3. 監査役会の構成等
a. 株主代表と従業員代表から構成
b. 株主代表の任期は最大4年
c. 監査役会会長とその代理人(副会長)は原則として監査役の中から3分の2以上の多数決で選任
d. 3分の2以上の多数を集めることができなかった場合には、株主代表が会長を選び、従業員代表が副会
長を選任する
e. 監査役会決議において賛否同数の場合は、会長に決議権があるため、会長を選びうる株主代表が監査役
会において優位
f. 株主代表、従業員代表の解任は、それぞれ、株主総会、従業員の投票の4分の3以上の多数決による
g. 同一の会社の取締役と監査役を兼ねることはできない
4. 取締役会
a. 監査役会は取締役会を監督
b. 監査役会は年に2〜4会開催、取締役会から提供された情報に基づいて経営を監督するのが一般的
c. 取締役は監査役会によって選任され、取締役会が会社経営にあたる。
d. 取締役の任期は5年以下(任期は5年とされることが多い)
e. 取締役の解任は重大な義務違反がある場合に限り行いうる
f. 取締役会は株主のみならず従業員と公衆の利益を考慮して行動しなければならないとされる
5. 報酬
a. 監査役の報酬は定款または株主総会で決定(職務と財務状況に照らして合理的なものでなければならな
い)
b. 取締役の報酬は監査役会が定める(職務と財務状況に照らして合理的なものでなければならない)
6. 定款変更
a. 定款変更には株主総会の4分の3以上の賛成が必要
C. フランス
1. 会社の形態
a. 株式会社と有限会社(出資者が50人以下)
b. 株式会社には経営に取締役会があたる伝統的な株式会社と、役員会及び監査役会(ドイツの会社制度の
影響を受けて1966年に導入)の重層構造で経営を行う会社の2つがある(ほとんどの会社は、伝統的な
形態を採用している)
2. 伝統的な株式会社形態
a. 取締役は取締役会の提案に基づき、株主総会で任命
b. 株主総会は取締役を解任して後任を任命することが単純多数決で可
c. 取締役任期は6年以内(定款で規定)
d. 取締役の報酬は株主総会で決定
e. 従業員50人以上の会社では、従業員代表は全ての取締役会に出席して助言する権利がある(議決権な
し)
f. 社長と副社長は取締役会で任命され、経営全般に対して責任を持つとともに、会社代表権を有する
g. 社長は取締役から選任され、取締役会の議長を兼ねる
h. 副社長は必ずしも取締役でなくてもよい
i. 社長と副社長の報酬は取締役会で決定される
j. 伝統的な株式会社形態をとる会社では、実際の経営は社長と副社長によって行われ、取締役会の権限は
その監督に限定されることが多い
3. ドイツ方式の株式会社
a. 業務執行委員会が会社経営、監査役会が業務執行委員会の行為を監査する
b. 監査役は株主総会で任命
c. 監査役の任期は6年以内(基本定款によって定める)
d. 監査役は株主総会の単純多数決でいつでも解任されうる
e. 監査役会の総報酬は株主総会で決定
f. 監査役は同一の会社の業務執行委員会を兼任できない
g. 従業員委員会の代表はすべての監査役会に出席して助言する権利がある(議決権なし)
h. 監査委員会が業務執行委員会のメンバーを任命し、業務執行委員会が経営全般を行う
i. 業務執行委員会の任期は4年
j. 業務執行委員は監査役会の提案に基づき株主総会が決議した場合にのみ解任される
k. 業務執行委員の報酬は個別に監査役会で定められる(報酬総額のみを監査役会で定めることは認められ
ていない)
l. 業務執行委員会の構成員の地位は、伝統的な株式会社における社長と副社長の地位に比較してより安定
しているといえる
4. 定款変更
a. 基本定款の変更は特別総会の3分の2以上の多数決によってのみ行いうる
5. 株主総会決議無効
a. 総会決議が会社の一般的利益に反し、少数株主の損害において多数株主に利益を与えようとする意図の
もとに行われた場合、裁判所は総会決議を無効としうる
6. 利益相反取引等
a. 取締役と会社の直接取引及び取締役が他の会社の取締役を兼任している場合の他の会社との取引につい
て、事前に取締役会の承認を得ることが必要
b. 利益相反取引等について取締役会の承認なき場合、会社に対して損害を与えた場合に限り、当該取引を
取り消すことができる(但し、法人以外の取締役に対する会社からの金銭貸付は取締役会の承認があっ
た場合でも無効とされる)
7. 従業員等の報酬
a. 従業員のうち上位5名ないし10名に対する報酬総額は全ての株主に対して開示されなければならない
8. 監査人
a. 法定の外部監査人(会計監査人)は経営陣から独立しており、会社経営を監督する強力な権限を有する
D. イギリス
1. 会社の形態
a. 公開会社と非公開会社の2種類
b. 公開会社は株式及び社債によって一般大衆から資金調達をしうる代わりに、非公開会社にくらべ厳しい
規制あり
2. 取締役
a. 取締役は株主総会の単純多数決で選任
b. 通常は取締役の3分の1づつが毎年新たに選任されるが、定款で別の方式を定めることもできる(但し、
英国の大企業52社のうち27社では、役員の全てないし一部の再任について株主総会の決議を有しな
い旨、定款に定めている)
c. 株主総会は、普通決議で取締役を解任しうる
d. 取締役の多くは使用人兼務取締役である
e. 定款において取締役会に取締役を追加する権限が追加することが多い
f. 一時的に取締役が欠員になった場合、取締役会で欠員補充しうる
g. 取締役会は多数決で決議(賛否同数となった場合の決定権は会長が有すると定款で定めるのが通常であ
る)
h. 取締役の報酬決定方法は、定款で取締役の報酬を株主総会の決議事項と定めている場合が通常(ただし、
取締役が会社に対して別格の役務を提供している場合にはその役務に対する報酬は取締役会で決定でき
る)
3. 配当請求権
a. 株主の配当請求権は、通常は定款により、株主総会が配当決議を行って生じる(その額は取締役会の提
案を超えてはならない)
4. 定款変更
a. 定款変更には株主総会の4分の3以上の賛成が必要
5. 債務総額
a. 伝統的に会社の債務総額は、定款により前期の監査済資本および準備金の1.5倍ないし2倍を限度とする
ことを定めることが多い(借入限度の引き上げは株主総会の普通決議によるとされるのが通常である)
I. 銀行の株式保有に関する規則
A. 日本
1. 原則として金融業を営む会社は、国内の会社の株式を、発行済株式総数の5%(保険業を営む会社は10
%)を超えて所有することができない(独占禁止法11条)
2. 金融持株会社は?
B. アメリカ
1. 銀行は他の大会社の株式を保有することはできないが、銀行持株会社は、議決権のある株式総数の5%で、
他の会社の発行済株式総数の25%まで、他の会社の株式を保有することができる
C. ドイツ
1. 銀行の株式保有については制限はない(但し、銀行の不動産への投資と、他の銀行および会社の株式保有
の合計は、銀行の資本を超えてはならない)
2. 銀行は、寄託された無記名株式の議決権を代理行使することを通じて、会社に対する影響力を有している
3. 寄託者たる株主の指示がない場合、代理権の行使方法を予め株主に通知し、かつ指示がない場合には、そ
の通知内容どおりに議決権を代理行使することができる
4. 主要銀行は、多くの大企業について議決権の過半数を実質的に保有し、また、銀行は株式会社の監査役会
へ監査役を派遣することがしばしばあり、場合によっては、銀行代表が監査役会会長となることもある。
D. フランス
1. 銀行の株式保有対象については制限がない(ただし、銀行資本に対する一定割合までの保有に制限されて
いる)
E. 英国
1. BOEの審査を受けた上で、他の会社の株式を保有できる
I. 企業買収のルールと実際(A6)
A. 日本
1. 友好的買収(対象会社の経営陣の同意の下に行われる)が大半
a. 友好的買収として、合併、営業譲受、第三者割当増資の引受がある
b. 吸収合併が圧倒的に多い
c. 合併について株主保護規定(商法408条、409条、410条)と債権者保護規定がある
2. 敵対的買収(日本では非常に少ない)
a. 公開会社の株券について証券取引所および店頭市場以外で取引を行おうとする場合には、原則として公
開買付制度によらなければならない(証券取引法27条の2)。
b. 証券取引法27条の2の例外として、買付後の株券の所有割合が5%以下の場合と相対取引の場合(6
0日間に10人以下の者から買い付ける場合)があるが、買付後の所有割合が発行済株式の3分の1を
超える場合には、商法上の特別決議を阻止できる所有割合であり対象会社の支配権に重要な影響を及ぼ
しうるから、相対取引であっても原則として公開買付制度によらなければならないとされる。
c. 公開買付けの手続として、公開買付をするものは、公開買付の目的、買付価格、買付予定株券数、買付
期間等を新聞公告するとともに、公告を行った日に、公開買付届出書を大蔵大臣に提出しなければなら
ない(証券取引法27条の3)
d. 上場会社の株券の5%超を保有する株主は、5%超を保有することとなった日から5日以内に株券など
の所有割合に関する事項を記載した大量保有報告書を大蔵大臣に提出するとともに、その写しを遅滞な
く当該会社及び証券取引所等に送付しなければならないことになっている(証券取引法27条の23、
同27条の27)。
e. ある限度を超えて買い付ける場合には、全ての発行株式の公開による買付が強制される制度はない。
f. 公開買付の対象とされた会社の経営陣が公開買付に関する見解を株主に対して表明することは義務づけ
られていないが、意見表明をした場合はその内容などを記載した書簡を大蔵大臣に提出しなければなら
ない(証券取引法27条の10)
B. アメリカ
1. 1980年代後半には、毎年100件以上の株式公開買付が行われた。
2. 公開買付によって対象会社の5%を超えて保有することになる場合には、買付をするものは、買付予定株
券数、買付資金の出所、買付の目的を記載した届出書を証券取引委員会に提出しなければならない。
3. ある会社の株式の5%超を保有することとなった株主も、10日以内に証券取引委員会に届け出なければ
ならない。
4. 公開対象会社の経営陣は公開買付開始後10日以内に公開買付に対する考え方を株主に表明しなければな
らない(経営陣が「公開買付を拒絶する」との意見表明をなした場合には、この買収は敵対的買収と呼ば
れる)。
5. 少数株主の株式を現金その他の資産で取得し排除すること(いわゆるキャッシュアウト・マージャー)が
可能である。
C. ドイツ
1. 株式買付は多くの場合過半数の株式の買収を目的として行われ、完全な買付が行われることは少ない。
2. 敵対的買収はほとんど見られない
3. 発行済株式の25%を超えて買い付けようとする者は、開示しなければならない。また、過半数を取得し
た場合にも速やかに開示しなければならない。
4. ある限度を超えて買い付ける場合にすべての発行株式の公開による買付が強制される制度はない。
D. フランス
1. かつては敵対的買収はほとんどなかったが、最近は増加傾向にある。
2. 大企業は銀行や保険会社および政府が支配株主となっている場合が多いため、大企業を買収することは困
難である。
3. ある会社の株式の33%以上を保有する株主グループは、残りの全ての株式を買い付けることを強制され
る。
4. 公開買付対象会社の取締役会は、公開買付に対する考え方を表明しなければならない。
5. 政府はこれまで公開買付の手続にしばしば介入した。
E. イギリス
1. 大企業が関与した敵対的買収がかなり見られる。
2. 「買収及び合併に関するシティー・コード」によって30%以上の株式を保有するに至ったもの等には原
則として、残部の株式の買付義務が課されており、30%以上50%未満の議決権を有する株式を保有す
る者が12カ月の間に2%以上の株式を取得した場合も同様である。
3. 公開買付人の有しない株式の90%を有する株主が公開買付を受諾するときには、買付人は反対株主の株
式を強制的に取得することができる。
4. 公開買付に際し、取締役会はその意見を表明する必要がある。
5. 発行済株式の3%超を取得した株主は、2営業日以内に対象会社に通知しなければならない。これに対し
て通知を受けた会社は3営業日以内に大株主名簿を開示しなければならない。
I. 敵対的買収に対する対抗策(A7)
A. 日本
1. 会社支配の安定化を図るための手段として、友好的な者に対する第三者割当増資を用いうる。
2. 第三者割当増資は、特に有利な発行価額による場合を除き、取締役会決議でなしうる。
3. 第三者割当増資は、株式持合強化の手段として用いられる
4. ゴールデン・パラシュートには株主総会の承認が必要(商法269条)
5. ポイズン・ピルは日本の商法のもとでは違法とされる可能性が高い
6. レバレッジド・リキャピタリゼーションも厳しい配当制限を考えると困難である。
7. また自己株式保有も原則として禁止されている(210条)
8. 以上から米国の会社が用いうる対抗手段の多くは、日本の会社では使えないが、安定株主の比率が高いた
め、敵対的買収を成功させることは非常に困難である。
B. アメリカ
1. 株主総会の同意を得て、乗っ取りを難しくするような定款変更を行う。
a. @支配株式に関係する取引については、特別多数(少なくとも3分の2(最大90%))の株主の賛成
が必要であるとすること
b. @を基本とするが、すべての株式を公正な価額で買い付ける場合には、特別多数を要しないとすること
c. B株主が株主総会を招集することを禁止すること
2. 自己株式の取得
a. 自己株式を市場価格より高い価格で取得することによって、その株式の市場評価が低すぎると経営陣が
考えていることを示すことができる。
b. また、自己株式取得資金を捻出するために流動資産を売却することによって、買収後これらの資産を売
却して買収資金の返済に充てようとする買付人の思惑を阻害する効果がある。
3. ゴールデン・パラシュート
a. 敵対的買収の対象となった会社の経営陣が高額の退職金を受け取ること
b. 乗っ取りのコストを幾分高める効果がある一方、乗っ取りに対する経営陣の抵抗を弱める面もある。
4. ポイズン・ピル
a. 公開買付の申込など一定の事態が生じた以降のみ実行しうる新株引受権を株主に与えておくこと
b. この権利は、対象会社の取締役会の同意なくして行われる買収コストを引き上げるために発行される
5. レバレッジド・リキャピタリゼーション
a. 外部株主に対して高額の一時配当金を支払う一方、内部株主が新株を取得する方法。現金配当の資金は
借入によって賄われることが多い。
b. この方法をとることによって、経営陣サイドの株式保有比率が上がるとともに、会社の負債比率が上が
ることになる。
6. 1980年代後半に、多くの州で敵対的買収を規制するような州法改正が行われた。
a. @公開買付の申込を州に届け出なければならないものとし、その届け出が行われるまでは買付に応じよ
うとする者は株式を売ってはならないとするもの。場合によっては州政府が公開買付を停止すること
ができるものもある。
b. A公開買付人の議決権を否定するもの
c. Bポイズン・ピルを明示的に有効としたり、乗っ取りが雇用者、地域、取引先、顧客に与える影響を、
取締役が考慮に入れることを容認ないしは要請する法律。この考え方は、会社の利害関係者を広く捉
えようとするものであり、多くの州でこのような法律が制定されている。
d. C対象会社とその利害関係株主との間の合併を制限する法律。この場合、利害関係株主は、対象会社の
株式の10%または15%以上保有しているものと定義されるのが通常である。
C. ドイツ
1. 通常、敵対的買収を成功させるのは困難。
a. 監査役の解雇のためには、議決権を有する株主の75%が同意する必要があること
b. 監査役の3分の1ないし2分の1が従業員代表となっていること
c. 正当な理由なく任期途中の取締役を解任することができないこと。
2. 株式会社は定款によって一株当たりの議決権を例えば総議決権の5%以下とか10%以下に制限すること
ができる。もっとも、銀行が寄託を受けた株式について議決権の代理行使をする場合にはこの制限は適用
されない。
D. フランス
1. 会社は一定の日の2〜4年以上前に登録した払込済株式について、一株当たり2票の議決権を与えること
を裁判所に求めることができる。
2. 会社の基本定款によって、1株主が行使しうる議決権を制限することができるが、この制限は全ての株主
に対して平等に適用されなければならない。
I. 株式持合に関する規則(A8)
A. 日本
1. 純粋持株会社の設立は禁止されている(独占禁止法第9条)
2. 親会社が過半数の株式を保有する子会社は親会社の株式を取得できない(商法211条の2)
3. ある会社が他の会社の発行済株式の4分の1を超える株式を保有している場合、被支配会社は支配会社の
株式についての議決権を有しない(商法241条3項)
4. 一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、他の国内会社の株式を取得、また
は所有してはならない(独占禁止法10条1項)
5. 金融業以外の事業を営む株式会社のうち大規模会社(資本金の額が100億円以上または純資産の額が3
00億円以上の会社)は、その資本の額または純資産のうち多い額を超えて国内会社の株式を取得するこ
とができない(独占禁止法第9条の2)
B. アメリカ
1. 独占禁止法令によって、競争を実質的に制限することとなる場合に、他の会社の株式を取得することは禁
じられている
2. 取締役の利益相反取引規制が比較的厳しいため、株式持ち合いによって長期的な取引関係を築くことは余
り行われていない(補論A1参照)
C. ドイツ
1. 親会社が過半数の株式を有する子会社は、親会社の株式を保有できない。株式の相互保有はできるが、そ
の場合には、他の会社の25%を超える株式を保有しても、その議決権は25%に制限される。
D. フランス
1. 会社は他の会社の株式を発行済株式総数の10%まで保有できる。また、子会社も親会社の株式を10%
まで保有できる。
E. イギリス
1. 「買収及び合併に関するシティー・コード」によって株式の支配権移転を防ぐために株式の相互保有をす
すめることは制限されている。
I. インサイダー取引に関する規則(A9)
A. 日本
1. 何人も有価証券の取引について不正の手段を用いてはならない(証券取引法157条)。これに違反した
場合には、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処せられ、またはこれを併科される(証券取
引法197条8号)
2. 上場会社等の業務等に関する重要事実を知った会社関係者は、その重要事実が公表された後でなければ当
該上場会社等の有価証券の売買を行ってはならない(証券取引法166条167条)。これに違反した場
合には6カ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する(証券取引法20条
6号)。
3. 上場会社の役員や主要株主(発行済株式の10%を保有している株主)が、その会社の株式などの売買を
行った場合には、その内容を大蔵大臣に届け出なければならない(証券取引法163条)。
4. 上場会社等の役員または主要株主が株券等の売買後6カ月以内に反対売買をして利益を得た場合には、そ
の利益を会社に提供すべきことを会社が請求できる(証券取引法164条)。
B. アメリカ
1. 有価証券の売買に関して、不正な手段を用いることや、虚偽の表示があったり重要な事実の表示が書けた
りしている文書を用いることを禁じている(連邦証券取引委員会規則10b-5)。
2. 裁判所の判例によれば、取締役、役員、顧問弁護士等会社の関係者が会社に関する公表されていない重要
な情報に基づいて有価証券の売買を行うことは、連邦証券取引委員会規則10b-5によって禁止される。
3. また、外部の者が権限なく入手した情報に基づいて取引することも違法と判断される(例えば、印刷会社
の従業員が顧客の情報に基づいて取引を行うことなど)。
4. 連邦証券取引委員会規則10b-5に違反した場合、違法に得た利益を返還しなければならない他、その3倍ま
での民事制裁金を連邦政府に支払わされる。また、刑事罰として10年以下の懲役か100万ドル以下の
罰金に処せられるなど、その制裁は他国と比べて非常に厳しい。
5. 会社内部の者(取締役、役員、主要株主)は、その会社の株式の取引をすべて証券取引委員会に報告しな
ければならない(証券取引法16条a)。
6. 会社内部の者が株式の売買後6カ月以内に反対売買をして利益を得た場合には、その利益を会社に提供す
るように会社または株主が請求できるものと定めている(証券取引法16条b)。
C. ドイツ
1. インサイダー取引を行った場合には5年以下の懲役に処せられる(インサイダー取引の監視機関として、
連邦証券取引監督庁がある)。
D. フランス
1. 1967年9月28日大統領令第67-853号によって禁止されている。インサイダー取引として規制される内部情
報の概念は比較的制限的である。
E. イギリス
1. 株価に影響を及ぼしうるような会社に関する非公開情報を有している会社内部の者(取締役、従業員、そ
の他関係者)がその会社の株式の売買を行うことは禁止されている(企業証券法)。
2. また、企業証券法を補足するものとして、1986年金融サービス法、証券取引所のモデル規定、および「買
収および合併に関するシティー・コード」がある。
F. EC
1. 会社内部の者(経営者、株主、その他会社に関する情報を入手しえる者)が譲渡可能な有価証券を、その
会社に関する重要な非公開情報に基づいて取引することを禁止している(インサイダー取引規定に関する
ガイドライン)。インサイダー取引規制違反に対する制裁は、EC参加各国が、それぞれの国の実情に応じ
て定めることができる。
I. 株主への分配に関する制約と企業会計原則(A10)
A. 利害調整機能と情報提供機能
1. 意義
a. 利害調整機能
i. 企業と利害関係者間、または利害関係者間相互の利害の対立を調整すること
ii. 典型として処分可能利益算定機能
b. 情報提供機能
i. 企業の経済活動及び経済事実に関する情報を利害関係者に広く知らせること
2. 処分可能利益算定機能
a. 配当可能利益及び課税可能所得の厳密な測定に主眼がおかれるために、法形式が重視
b. 信頼性、検証可能性、客観性、確実性、保守主義性等の情報特性を有する取得原価主義評価が採用される。
3. 投資意思決定情報提供機能
a. 投資家に対する情報の提供に主眼
b. 財政状態および経営成績の報告が中心
c. 法形式よりも実質優先主義に基づいて経済的実態の開示が重視される。
d. 目的適合性、有用性、適時性、表現の忠実性などの情報特性を有する時価または更正価値評価が採用される。
B. 日本
1. 配当制限
a. 利益配当は会社の純資産額から資本、資本準備金および利益準備金の合計額、その決算期に積み立てることを要する利益準備金の額を控除した額等が配当限度額である(商法291条1項)
b. 株式の発行価額は、資本に組み入れることが原則(商法284条の2)。組み入れざる額は資本準備金とする(商法288条の2)
c. 利益処分として会社が支出する額の10分の1以上を、資本の4分の1以上に至るまで利益準備金として積み立てなければならない(商法288条)
d. 建設利息の例外あり
2. 欠損
a. 法定準備金を欠損填補にあてることは可能(取締役会決議、及び株主総会の承認が必要)
3. 減資
a. 法定準備金よりも欠損が大きい場合には、減資可(株主総会特別決議(商法375条)、債権者保護手続(商法100条)が必要)
b. 減資差益は資本準備金としなければならない
4. 自己株式の取得
a. 原則として禁止(但し、例外として商法210条等がある)
5. 資産の評価方法
a. 流動資産、取引所の相場のある社債等の評価は原則原価法による(低価法も容認される)
b. 銀行等のトレーディング勘定は時価評価
c. 強制評価減
d. 子会社株式には低価法が認められない(商法285条の6)
6. 税法
a. 税制は企業会計原則に大きな影響を与えている(確定決算主義)
7. 証券取引法
a. 連結財務諸表の改正(平成9年6月予定)により、時価情報の開示等がすすめられている
C. アメリカ
1. 配当規制
a. 当期の利益、前期までに蓄積された利益以外から、配当や自己株式により分配を行うことについての法的規制が非常に弱い。
b. 多くの大企業は、純資産が表示資本(stated capital)を上回るときには配当を行うことができ、純資産が表示資本を下回る場合であっても、過去2年間の利益からの配当支払(いわゆる機敏利益配当(nimble
dividend))が可能
c. 会社は株式発行の対価として受領した総額を表示資本に組み入れる必要はなく、組み入れない部分を資本剰余金(captal
surplus)とすることができる
d. 会社が切迫した支払不能状況にない限り、配当を支払ったり自己株式を取得することを取締役会が決定しうるのが通常
2. 会計原則
a. 投資家(とりわけ株主)に対して会社の状態について情報を与えることを主要な目的としている。
b. 市場性証券の多くは通常、取得原価ではなく時価評価
3. 税制
a. 税制が会計原則に与える影響は小さい
D. ドイツ
1. 配当規制
a. 払込資本から配当を支払うことは法律により厳格に規制
b. 払込資本から配当を行う前には、全ての債権者に対して完全に弁済するか十分な担保を提供しなければならない。
c. 資本の10分の1に達するまで、毎年の利益の少なくとも5%を法定準備金として積み立てなければならない
d. 法定準備金は将来の配当に用いることはできない。
e. 原則として自己株式の取得は禁止されている
2. 会計原則
a. 債権者、従業員を含む利害関係人を保護するために、会社の純資産を余裕を持って評価し、配当支払を制限することに重点がおかれている
b. 多くの市場性証券は通常取得原価で評価されるが、時価が取得原価を下回ったときには時価が用いられる。
c. すべての未実現の譲渡損失を認識し、すべての未実現の譲渡利益を認識しないことを要求
3. 税制
a. 会計原則に対して多大な影響
E. フランス
1. 配当規制
a. 払込資本から配当を支払うことは法律により厳格に規制
b. 払込資本から株主に対して配当を支払う前には、その支払に異議を述べた総ての債権者に対して完全に弁済するか、十分な担保を提供しなければならない
c. 資本の10分の1に達するまで、毎年の利益の少なくとも5%を法定準備金として積み立てなければならない
d. 法定準備金は将来の配当に用いることはできない。
2. 会計原則
a. 債権者、従業員を含む利害関係人を保護するために、会社の純資産を余裕を持って評価し、配当支払を制限することに重点がおかれている
b. 多くの市場性証券は通常取得原価で評価されるが、時価が取得原価を下回ったときには時価が用いられる。
c. 連結勘定は保守主義の影響をさほど受けていない
3. 税制
a. 税制は会計原則に対して多大な影響
F. イギリス
1. 配当制限は厳格
2. 時価評価
3. 税制が会計原則に与える影響は比較的小さい
G. EC